Crypto Life

Cryptocoiner.info

Life is beautiful with crypto

Coincheckハック事件がもたらすプラスの影響

CoincheckにてNEMのハッキング事件が発生し、約5.26億NEM (約500億円)が流出したというニュースが1月26日に報道されました。

ビットコイン取引所「コインチェック」で620億円以上が不正に引き出される被害が発生(追記あり)(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース


このハッキング事件は短期的には市場に影響を与えており、NEMのみならずそれ以外の通貨についても、一時的に価格が大きく下落することになりました。

NEMの価格
f:id:steinith310:20180127025338p:plain
BTCなど他の通貨の価格
f:id:steinith310:20180127025053p:plain
Cryptowatch - live Bitcoin price charts


しかし、長期的な目線に立つと、この事件は仮想通貨への印象の悪化などの負の影響だけではなく、ユーザリテラシの向上などの正の影響も大きいのではないだろうかと考えています。

Coincheckハック事件の概要

Coincheckの発表などを参考にすると、経緯は以下の通りです。
公式ブログメンテナンスのお知らせ | コインチェック株式会社

タイムライン
  • 12:07 NEMの入金を制限
  • 12:38 NEMの売買停止
  • 14:00頃 Coincheck社が不正なXEMの引出しを把握
  • 14:40頃 NEM財団がCoincheck社にコンタクト
  • 16:33 円を含めて、取扱通貨の出金を停止
  • 17:23 BTC以外のオルトコインの取引を停止
  • 18:50 クレジットカード、ペイジー、コンビニ入金による入金を停止
  • 23:30頃 Coincheck社が記者会見
発生した原因

発生した詳細な原因はCoincheck社が引き続き調査中ですが、NEMの管理にはコールドウォレットないし、マルチシグを利用していなかったことが判明しています。

長期的な影響

冒頭で述べた通り、短期的には負の影響があるかと思いますが、必ずしも長期的に負の影響ばかりが残るとは考えていません。

取引所リスクの認知とウォレットの使用

これまで日本ではMt Gox事件以降大規模な取引所ハック事件が発生していなかったため、取引所に仮想通貨を預け入れることに対してあまり抵抗感がありませんでした。しかし海外に目を移すと、毎年数件取引所による持ち逃げ事件が発生しているほか、最近では中国や韓国のように規制による取引所閉鎖リスクも認識されつつあります。


Bitcoinが本来持つ思想は、誰もトラストすることなく資産を安全に保管、移転できるという点にあります。その点から考えると、現在の取引所信仰は本来Bitcoinが持つ思想からはかけ離れており、暗号通貨の進展にとっては必ずしも良い状況とは言えませんでした。


今回の事件を機に、自分自身が保有するウォレットで仮想通貨を保管する習慣が形成されれば、ハック事件が発生することに対する影響を軽減できるだけでなく、DEX (分散型取引所)などの新たな技術の開発にも繋がります。


DEXやBancorなどの分散型取引所、分散型コイン交換方式は2018年に開発が進展することが予想されており、今回の事件は結果としてそのような技術の後押しになるのではないかと期待しています。

中央集権型通貨へのリスク認識の浸透

今回14:00頃に事件発生が確認された後、14:40にはNEM財団とCoincheckの間で協議が持たれたと報道されています。今回の事件に関してNEM財団は、ハックされたXEMを取り戻すためのハードフォークを行わないとの断固とした声明を発表しています。
Coincheck Hack: "The Biggest Theft in the History of the World"


一事件に対して恣意的にハードフォークを決めるのは中央集権となんら変わりがないため、この声明自体には私は賛成です。しかし、もう一歩踏み込んで考えると、そもそも「NEM財団が一事件のハードフォーク実行に対して大きな影響を及ぼすことができる」ということ自体が問題であるともいえます。


今回のようにNEM財団が「正しい」決断を常にし続けられるのであれば、もちろんそれに越したことはありません。


しかし攻撃者からすると、NEM財団さえ調略すれば、NEMを好き放題自由にできるということにつながり、NEM財団が単独攻撃点となってしまいます。この点に関しては、Bitcoinも開発者の力が大きな影響を及ぼしますが、コミュニティの多様性、マイナーという外部経済が存在することによる牽制機能のおかげで、多くの通貨よりは単独攻撃点となりづらい構造になっています。


また、「正しい」という基準は当然人によって異なり、開発メンバーが正しいと思うことが、他のコミュニティメンバーの正しさとは乖離していることは当然ありえます。そのような場合に、開発メンバーの考える正しさを押し通せてしまうとすると、結局中央集権型のFiat通貨が持つ特性と何も変わらなくなってしまいます。


今回の事件を機に、仮想通貨が本来持つ「分散型セキュリティ」の特性に気づく人が増え、仮想通貨の価格だけでなく、その思想、技術面の理解が進むことを期待しています。

まとめ

まとめると、今回のハック事件は、以下のような点でユーザのリテラシーの向上に繋がると考えています。

  1. 中央集権型取引所のリスク認識の浸透(+ ウォレットの浸透)
  2. 中央集権型通貨へのリスクの浸透


念のため追記ですが、今回のハック事件はNEMのみならず、他の通貨でも発生する可能性があるものであり、NEMの脆弱性では一切ありません。また、NEMよりも中央集権な通貨はいくつも存在しています。問題なのは、中央集権という点を理解せずに購入する人がいることであり、理解している上で買う人がいることは全く問題はありません。


でも、個人的には分権型通貨が生き残る未来を見てみたいな。