Moneroのハードフォークが無事成功したようです。マーケットもこれを受けて、4.5%価格が上昇しています。
Moneroのハードフォークの内容
そもそもMoneroは、Bitcoinのプライバシーが著しく低いことへのアンチテーゼとして生まれたコインであり、主眼に置いているのは通貨利用の際の「プライバシー」です。Bitcoinを使用する場合は、ブロックチェーンを除けば誰でも取引内容を参照できますが、Moneroはいくつかの取引をミックスすることで、第三者がブロックチェーンを覗いた時に取引内容がわからないようにしています。なお、このミックス機能にはRing Confidential Transactions (RCT、 リング署名)と呼ばれるテクノロジーを使用しています。
今回のハードフォークでは、ミックス機能であるRCTが強制はされていなかったのを、デフォルトで有効にして強制するという対応です。これにより、すべての取引が匿名な状態で実行されることが担保されることになりました。
ただ、課題もあるようで、1トランザクションあたりの容量がこれまでの4KBから、6KBに変更となり、ブロックチェーンを保持する各ローカルマシンのハードディスク容量を食いつぶすおそれがでてきています。ちなみに、Bitcoinのトランザクションサイズはたったの400バイトです。
まとめ
Moneroは2016年に急伸した暗号通貨であり、現在では時価総額が暗号通貨の世界で第5位に入るまでに成長しています。今回のハードフォーク成功により、ブラックマーケットでの使用は引き続き伸びていくことが想定されるため、コイン価格の上昇が見込まれます。
以前、シルクロード(薬物取引などが行われた違法サイト)で、取引にBitcoinが使われたことがありましたが、最近では匿名性がより高いMoneroへのシフトが進んでいるようです。ただ、Moneroが意図するプライバシーの重要性自体は疑いようがないものであるため、犯罪に使われるコインというイメージをいかに払拭していくかは長期的には課題となると思います。
ちなみに、Moneroで使用されているリング署名は今回新しく発明されたものではなく、最近では企業内の内部通報に使われることも想定されています。どのような仕組みかというと、通報した人がその組織に所属しているが、どの人物であるか特定されるのを避けるために、その組織に所属する複数人の情報(公開鍵)を利用して署名をするという仕組みです。この方法を利用すれば、通報者を企業に特定されることで不利益な処遇を受けることを避けられるとともに、その企業が何かしらの不正行為を行ったことを伝えることができます。
https://www.toshiba.co.jp/tech/review/2008/01/63_01pdf/f01.pdf
室町時代に一揆の首謀者が特定されるのを避けるために、傘連判状を利用したのを思い出しますね(笑)