インドネシア在住者としては、やはり牛を常食としている地上最強の生物「コモドドラゴン」の名を冠した暗号通貨を避けて通るわけにはいきません。クズコインになる前に内容を共有することで、Komodoユーザーを増やしていきたいと思います。ちなみに、私は残念ながらコインを持っていません。
Komodoとは?
Komodo公式サイトでは、Komodoについて以下のように紹介しています。
Komodo is a Zcash fork that adds the dPoW consensus on top of it and integrates into the SuperNET ecosystem.
KomodoはdPoWコンセンサスアルゴリズムを搭載したZcashのフォークであり、SuperNET ecosystemに統合されている。
Komodo dPoW Whitepaper – Komodo Platform
これだけでは全くわからないので、まずはSuperNET、Zcashを最初に説明し、最後にdPoWとは何かを説明していきたいと思います。
SuperNET Ecosystem
SuperNET Ecosystemとは、Bitcoinに代表される複数の暗号通貨をシームレスに接続するための基盤です。このSuperNET Ecosystemを実現するために、SuperNETチームはKomodoとともにIganaと呼ばれるウォレットを開発しています。
IganaはBitcoinベースの暗号通貨を保管できるウォレットです。IganaウォレットはAtomic Swapを提供しており、Bitcoinベースの通貨間では仲介者なしで、安全な取引ができることを目指しています。このIganaウォレットとKomodoが提供する「dPoW」を利用することで、暗号通貨全体のプラットフォームを構築しようというのがSuperNETが目指す目標です。
これに加えてSuperNETでは、円やドルなどFiatにペグしたアセットを作成することで、暗号通貨だけではなく、Fiatも含めたエコシステムの構築を目指しています。
Q & A: SuperNET, Iguana, and the Role of Komodo — Steemit
Zcash
ZcashはDASHやMoneroなどと並ぶ、匿名系の暗号通貨です。Zcashはzk-SNARKsという仕組みを導入しており、zk-SNARKsを利用することでTransactionを暗号化することができます。KomodoはZcashをフォークして作成したコインであるため、Zcash同様zk-SNARKsを利用して取引を暗号化することができます。
zk-SNARKsの解説記事
Zcash開発チームの記事
Zcash - How zk-SNARKs work in Zcash
Ethereum開発者のVitalikの記事
Quadratic Arithmetic Programs: from Zero to Hero – Vitalik Buterin – Medium
もともとSuperNETのプロジェクトチームは、暗号通貨の「プライバシー」、「スケーラビリティ」、「スピード」を問題視していました。zk-SNARKsを利用することで「プライバシー」の問題の解決を図っています。
残る「スケーラビリティ」の問題は前章で紹介したIganaウォレットによるAtomic Swapと、Komodoが提供するdPoWにより解決を図り、「スピード」の問題は同じくKomodoが提供するdPoWにより解決を目指しています。
dPoW
Bitcoinでは、PoWを採用してハッシュパワーに基づいてブロック承認できる頻度が決まる仕組みをとることで、Sybill Attack(シビルとハイドの二重人格者の話から命名。ハッシュパワーではなく、アドレス単位でブロック承認の機会が平等に訪れる場合、二重人格者のように複数のアドレスを駆使することで、ブロック承認頻度を増やすことができる攻撃)や過去トランザクションが覆されることを防いでいます。
これに対して他の暗号通貨では、Bitcoinと同様にPoWを利用している通貨(Litecoinなど)もありますが、Bitcoinに比べるとハッシュパワーは劣っており、セキュリティの観点でBitcoinに歩があります。また、PoS、PoIなど独自のコンセンサスシステムを利用している通貨(NEMなど)もありますが、ハッシュパワーを担保にしていないため、セキュリティ面でPoWベースのシステムに劣るおそれがあります(たとえば、 時価総額が小さいタイミングで、攻撃者が大量に買占め攻撃を行うと、51%攻撃により一部のトランザクションが無効化されてしまう恐れなどがあります)。
コンセンサスシステムの優越についてはいくつか議論があり、ある程度時価総額が大きくなると、既存のネットワークの過半を占める通貨を獲得することが難しくなることから、PoSに移行した方がセキュリティが高まるという指摘もあります。ただ、少なくとも規模が小さい暗号通貨については、PoWであろうが、PoSであろうがセキュリティリスクはBitcoinよりも劣ってしまいます。
ザキヤマさんのPoWとPoS
そこでKomodoでは、dPoWという仕組みを導入してこの欠点を補うことを目指しています。
図からわかるとおり、Komodoは他の暗号通貨をBitcoinネットワークとつなぐ中間レイヤーとして機能します。Komodoを経由してBitcoinのブロックチェーンにトランザクションをまとめて書き込むことで、作られたばかりでセキュリティ強度が低い暗号通貨であっても、Bitcoinと同等のセキュリティ強度を手に入れることが可能になります。
また、例えばPoSを利用した高速なブロック承認スピードを持つ暗号通貨がKomodoのdPoWを利用することにより、高速な承認スピードとBitcoinが持つセキュリティを合わせ持つことが可能になります。
ちなみに、KomodoブロックチェーンからBitcoinブロックチェーンへのトランザクション書き込みは、Notary Nodeと呼ばれるKomodoコミュニティによって選出された一部のノードが代表して行います。
Komodoの今後
今後はSuperNETとしての暗号通貨基盤を強化するべく、Smart Contractの実行基盤を構築することを目標にして開発が進んでいます。通貨としてのKomodoはEthereumでいうGasのように、プログラム実行の燃料(手数料)として利用される予定です。
ひとつ懸念があるとすると、ICOで調達した資金の一部をBitcoinチェーンへの書き込みに利用しているようですが、ICO資金枯渇後のビジョンが不透明な点でしょうか。おそらく、Komodoチェーンへのトランザクション手数料をBTCトランザクション手数料に流用すると思われますが、Notery Nodeを維持するSunerNET開発チームのインセンティブがなくならないか不安です。
一応、1Komodo = 0.25USDを上回っている限りは維持できるとのことですが、その価格を下回ったときにはKomodoを利用したSuperNETエコシステムは終焉を迎えることになりそうです。ちなみに、現在価格は1Komodo=0.83USDです。